オルテリウスの「日本図」

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Published

2026-03-22 22:00

Updated

2026-03-22 22:53

オルテリウスの「日本図」

NHK大河ドラマを見ていたら、本編のあとに紹介される「豊臣兄弟!紀行」で、オルテリウスの「日本図」が紹介されていました。


1. オルテリウスとは

アブラハム・オルテリウス(Abraham Ortelius、1527年 - 1598年)は、16世紀のネーデルラントで活躍した地図製作者・地理学者です。現在のベルギーのアントウェルペンを拠点に活動し、世界各地の地理情報を集めて地図としてまとめました。

特に、近世ヨーロッパにおける地図帳の発展に大きな役割を果たした人物として知られています。

2. その功績

オルテリウスの最大の功績は、1570年に刊行した『世界の舞台(Theatrum Orbis Terrarum)』です。これは近代的な世界地図帳の先駆けとされるもので、各地の地図を統一した形式でまとめ、多くの人が参照しやすい形にした点で画期的でした。

この地図帳には日本を描いた地図も収録され、当時のヨーロッパにおける日本認識を知るうえで貴重な資料となっています。もちろん現在の地図と比べると形や位置には不正確な部分もありますが、16世紀当時に日本列島がどのように理解されていたかを示す歴史資料として非常に興味深いものです。

3. オルテリウスの人生

オルテリウスはもともと古物商や彩色地図の販売に携わっており、その仕事を通じて多くの地理情報や知識人とのつながりを得ました。そうした経験をもとに、各地の地図や文献を集成して、自らの地図帳制作へとつなげていきます。

大航海時代の進展により世界像が大きく広がっていくなかで、オルテリウスは新しい知識を整理し、可視化する役割を果たしました。1598年に亡くなるまで地図制作と研究を続け、その名は現在でも地図史に残る重要人物として語られています。

4. 日本図はどんな地図か

オルテリウスの「日本図」は、16世紀後半のヨーロッパで日本列島がどのように理解されていたかを示す歴史的な地図です。現在の正確な日本地図と比べると、列島の形や位置関係にはかなり違いがありますが、当時としてはきわめて貴重な情報の集積でした。

この地図では、日本列島が縦に連なる大きな島々として描かれており、地域ごとの名称や主要な地名も記されています。もちろん、現代のような測量技術や衛星観測がある時代ではないため、海岸線や方角には誤差が見られます。しかし、それでも当時のヨーロッパの人々が、日本を独立した重要な地域として認識していたことがよく分かります。

また、この「日本図」は単なる地理情報ではなく、ヨーロッパにとって日本が交易・宣教・外交の対象として関心を集める存在だったことも物語っています。地図の正確さ以上に、「遠い東アジアの島国を一枚の地図として表そうとした」という事実そのものに、大きな歴史的価値があります。

5. なぜ戦国時代の日本がヨーロッパで描かれたのか

16世紀は、大航海時代によってヨーロッパとアジアのつながりが急速に強まった時代でした。ポルトガル人やスペイン人がアジア航路を広げるなかで、日本もまたヨーロッパに知られる存在となっていきます。

特に大きかったのは、商人や宣教師の来航です。1543年の鉄砲伝来、1549年のフランシスコ・ザビエル来日以降、日本に関する情報は少しずつヨーロッパへ伝えられるようになりました。戦国時代の日本は各地の大名が争う時代でしたが、その一方で海外との交易やキリスト教布教の窓口も開かれており、ヨーロッパ側にとっては非常に関心の高い地域だったのです。

こうして集められた報告や記録をもとに、ヨーロッパの地図製作者たちは日本を地図の中に位置づけようとしました。オルテリウスの「日本図」も、そうした国際的な情報交流のなかで生まれた成果のひとつといえます。つまりこの地図は、単に日本の形を描いたものではなく、戦国時代の日本がすでに世界史の流れの中に組み込まれていたことを示す資料でもあるのです。

6. どこで観覧・入手できるのか

オルテリウスの「日本図」は、デジタルアーカイブや古地図コレクションで画像を観覧できる場合があります。たとえば、日本国内では国土地理院の古地図コレクションのような公開資料から確認できることがあります。また、国立国会図書館や大学図書館、博物館などが関連資料や復刻図録を所蔵している場合もあります。

海外では、西洋古地図を扱う図書館や博物館、デジタルアーカイブに収録されていることもあり、検索すると高精細画像や解説付きで閲覧できる場合があります。原本そのものは非常に希少で高価なため、一般に個人が入手するのは現実的ではありませんが、復刻版や複製図、図録掲載版であれば古地図専門店や古書店、オンライン書店などで見つかることがあります。

観覧や購入を考える場合は、まずデジタル公開資料で内容を確認し、そのうえで復刻版や図録を探すのが現実的だと思います。公開状況や販売状況は変わることがあるため、最新の情報は各所蔵機関や販売サイトで確認するのがよさそうです。


オルテリウスの「日本図」は、現代の感覚で見れば不正確な古地図かもしれません。しかしそこには、16世紀のヨーロッパが日本をどのように見ていたのか、そして日本が世界とどのようにつながり始めていたのかが刻まれています。大河ドラマの紀行で紹介されると、こうした古地図がぐっと身近に感じられて面白いですね。

2026-03-22-2.png 国土地理院「古地図コレクション」